冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

だから結局…


「宜しくお願いしますッ」


快く承諾してしまう
単純なイトカ。


”花嫁修業”だという事は
頭の片隅に追いやられ
まんまと西園寺の思惑にハマってしまったのだ―――


「お前、最近ヤケに出掛けている事が多いな」

「え・・・」


バレないようにと隠しているつもりでいたが
数日が経ち
勘の鋭いシバ社長に不審に思われた。

…というより
同棲しているのだから
留守が続けば怪しく思うのは当たり前。


「そ、そうです?
 この街にも慣れてきたし
 ちょっと買い物したりしているだけですよッ」


明らかな嘘で誤魔化し切れていないが
それでもイトカは
社長に話す事をしなかった。


言えばきっと
間違いなく大騒ぎし大反対するに違いないと考えたから。


そんなイトカの嘘は
もちろん社長も気付いていた。


けれど…


「…そうか。
 気をつけろよな…」


深く言及はしなかった。


西園寺と会っている事に
2人の関係を疑いつつもあったが
イトカが何を思ってそうしているのか
怒り以上にダメージが大きかったのだ。

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