冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

だからつい…


「そんなに凄いんですね、シバ社長は。」


いつもの感じで声に出してしまい…


「ん?誰かね?キミは。」


思わぬ注目を浴びる羽目になってしまった。


婚約者としてココにいる事は内密な為
”仕事以外”では決して誰にも声を掛けず
ひっそりとやり過ごさないといけなかったのに
『やってしまった』と後悔しても、もう遅い。


「キミは…
 どこかで見た事がある気が…」

「確かにどこかで…」

「ただの御手伝いです…アハハ」


ギリギリ誰にも婚約者だという事はバレず
なんとか回避に成功。

しかし、酔っぱらいに声を掛けたのは運の尽き。


「美人なお嬢さん。
 せっかくだから1杯付き合いなさい」

「え…」

「遠慮せず
 さぁグビっと一気に。」


そう言って手渡されたのは御猪口(おちょこ)と
注いでいるのは日本酒だ。


「私コレ…』


『飲んだ事ない』と言おうとしたが
この状況で拒否すれば
場の空気が悪くなる事を恐れてしまい
仕方なく飲む事に。


「い、いただきます…」


意を決し
グビっと一気に飲み干すが
口当たりは悪くなく意外と飲みやすい。
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