冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
だがその1つ1つを思い返していくうちに
酔っていてもさすがに気が付く。
「西園寺さんって…
実は悪い人だったんですね」
「面と向かって言いますか…」
ストレートなイトカの言葉に
『やはりさすがハッキリ言う方だ』と
苦笑いを浮かべてしまう。
「花嫁修業だって素直に受け止めて
騙されて…
それに社長にまで嘘をついた…
私…本当バカ…」
「木瀬様…」
ガックリと肩を落とすイトカに
『やりすぎてしまったな』と
西園寺は少しだけ反省を見せたが…。
「もう…私に近付かないでください」
「木瀬様…」
「何を言われても
私はシバ社長が好きですし
貴方のところには行かないッ」
意気込んで言い放ったが
時間が経っているとは言え
酒のまわりは早く
本人が思っている以上に
身体には影響を及ぼしている。
「木瀬様ッ」
「来ないでください!」
ヨロヨロと倒れそうな彼女を心配した西園寺が
近寄って体を支えようとするも
イトカはそれを拒絶。
全貌を知ってしまった以上
コレ以上、近付きたくない気持ちしかなかった。