冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
いろんな意味で驚いたイトカと西園寺。
お互い言葉には出なかったものの
同じ事を思った。
『あー…マズイ』と。
「やはりこの宴会だったか。
木瀬、西園寺
どういう事か説明しろ」
弾む息を落ち着かせたところで
完全にご立腹な社長は
眉間に皺を寄せ凍てつく眼差しで
2人を交互に見た。
「シバ社長…
私…」
最初に発言したのはイトカ。
酔っているせいか動揺なのか
視界はもうグラングランだ。
「柴永様
コレは私の不注意です。
…申し訳ありません」
宣戦布告した時とは大違いに
西園寺は頭を下げて謝罪した。
「この会がある事は知っていたが
元々俺は欠席の通知を出していた。
西園寺はそれを知っていて
木瀬を連れ込んだのか」
「…はい」
「…そうか」
シバ社長は怒鳴りつけるワケでもなく
静かに落ち着いた様子でイトカを見つめるが
当人は酒のまわりが限界を向かえていた。
「ヤバい…最悪…
こんな時に…」
気持ちではわかっているはずなのに
頭も身体も思うようにいかず
急激に襲われる眠気に
その場で倒れかけてしまう。
「…ッと」
間一髪シバ社長に支えられた時には
イトカはすでに眠ってしまっていた。