冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

始めこそ浮気を疑ったが
西園寺の話を聞き
その疑いは少し薄れていた。

しかし事実を聞いていなかった為に
モヤッとした気持ちが残っていた…が
そんな理由とは
まったく想像していなかったのだ。


「そんな理由って…
　私にとっては重要ですもん…」


こんな状況ながらも
思わず口を尖らせてしまうイトカ。


「あまりにくだらなすぎて拍子抜けだ」

「く、くだらない…」

「だいたいなぁ
　こっちは最初から
　お前にそんなモンは求めてない」

「うわ、酷い…
　それは傷つきますって…」


説教の次は貶し文句で
ショックのダメージは増すばかり。

だがしかし…


「習わしに囚われろなんて言ってない。
　俺はルールとか
　そんなのでお前を妻に決めたワケじゃない。
　今のままの木瀬を選んだんだ」

「え…」

「そのままの…
　自然体なのが1番、良いんだ…」


”飴と鞭”
まさにそんな言葉だった。


「知らなかった…」

「俺も同じだ。
　そんな事を考えていたなんて
　思いもしなかった」


それぞれの本音を知り
2人とも別の意味で考えさせられてしまった。