冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
それからの事――――
シバ社長から
イトカは無事にプロポーズを受け
紙の上の契約的な婚約から
晴れて”夫婦”となる日。
「イトカ
準備は出来たか?」
真っ白なタキシードを着たシバ社長は
新婦の待つ控室へと顔を出す。
「うん、ちょうど今終わったよ」
髪を結いメイクを済ませ
純白のウェディングドレスと
長いベールに包まれたイトカは
大きな姿見鏡越しに微笑んだ。
「…なるほど。
ウェディングドレスを着ると
人間、こうも変わるモノか」
「こんな時まで失礼な事を言うんですね。
どうせまた”馬子にも衣装”って――」
「綺麗だな…」
「え…」
文句の1つも言おうとしたのに
裏切る形で本当に褒められてしまい
思わず目を見開いて社長に顔を向けた。
「シバ社長が…私を褒めた…」
「なんだよ。
そんなに驚く事かよ」
「そりゃぁだって…
あのシバ社長が…」
ただただ驚きで瞬きを数回するイトカに
『お前なぁ、俺をなんだと思っているんだ』と
溜め息交じりに近付いたが。
「本当に綺麗だと思っている」
優しい眼差しで頬に触れた。