冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
突然の雑用係への採用と
想定外の引っ越し。
そしてその先はシバ社長の邸宅。
次から次へと展開させられる事態に
状況が呑み込めないまま邸宅の一室へと入るが
あまりの広さに呆然。
硝子張りの窓から見える
イルミネーションのような景色に圧倒されつつ
イトカがこの日
落ち着いて眠りに就ける事はなかった―――
―――
――
「期限ギリギリに提出しておきながら
内容に不備があると。
どうするつもりなんだ」
「も、申し訳ございませんッッ」
怒鳴りはしないものの
明らかに怒っているのがわかる威圧で
提出された書類を突き返すシバ社長。
その相手はイトカではなく
30代くらいの若めの男性だ。
社長より年上であろうその男は
どうやら下のオフィスの社員。
期限が明日までの書類をようやく提出したが
間違いが多々あったらしい。
深々と頭を下げ懸命に謝罪している姿を
掃除をしながら可哀想に思えてしまった。
「期限は明日だ。
それまでにお前の本気を見せろ」
「はい!!!
承知しましたッ」
『頑張ります』と
強い意気込みを張り切って声に出し
すぐさま去っていく社員。