冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
どれも様々な色彩を使った色鮮やかな見た目に
女性をターゲットにしているのがよくわかる。
そしてイトカもまた
あっという間に目を奪われてしまった。
「そこのテナントに入っている
高級和菓子屋の新作だ。
食べたら俺に感想を聞かせろ」
「え…
社長は食べないんです?」
「あぁ。
俺は甘いモノが嫌いだからな」
”苦手”ではなく”嫌い”だと
躊躇いもせずハッキリ本音を言う社長。
けれどその言葉に意外と驚かず
むしろ、とても納得。
「あー…なるほど。
どおりで。」
ボソッと呟いたはずだったのに
社長の耳にはしっかり届いていたようで。
「どういう意味だ」
怪訝な表情を浮かべている。
「いえ、特に…」
「なんだ、言ってみろ」
そう言われても
『甘いのが嫌いだから
他人に対しても甘さも優しさもないんです。
糖分が足りてないからイライラするんですよ』
などと軽率な発言、口が裂けても言えるはずがなかった。
クビか雑用の量を増やされるか
パワハラ度が高くなる事を恐れての
懸命な判断だとイトカは考えたのだ。