冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
『あ、そっか』と1人で閃いて納得し。
「見るからに甘そうだったけど
洋風テイストだからクリームが多すぎなのかも…」
素直でシビアなコメントを口にした。
それを聞きながら
社長は手元にあった紺色の手帳を開き
イトカの意見をメモし始める。
そこには”新作洋風和菓子の報告”と記載。
イトカの意見を報告するのが目的だった。
「女性はカロリーが天敵ですし
もう少し甘さを控えないとだと思うんですよね」
「…そうか。
わかった」
「え…
こんな感じでいいんです?」
「あぁ、十分だ。
聞いて余計に俺は食べなくて良かったと思えた」
「…そこですか」
まさか自分の意見が参考にされているとは
まったく想像もしてないイトカは
『社長が貰ったのに食べられないから私に?』と
素直に受け取った。
「食べ終えたところで話がある」
手帳を閉じ
社長は急に真剣な表情で指を組んだ。
「木瀬。
お前は今日から俺のアシスタントもやれ」
「・・・はい?」
あまりに突然の異動告知に
今度は何が起きるんだろうかと
背筋が凍る思いだった―――