冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

言葉にしなくとも
察しの良いシバ社長は
イトカの気持ちなんて薄々勘付き――――


「あの女
 俺の不在にサボっているんじゃないだろうな」


移動の車内
タブレットで仕事をしながら
独り言を呟いていた。

それを隣の座席で聞いていた秘書の鮫島。
社長の口からイトカの話が出る事が凄く気に入らない。


「どうしてシバ社長ともあろう方が
 あんな一般庶民を採用したんです?
 それも”社長専用雑務”だなんて。」

「一般庶民を採用したら悪いのか?」

「悪くは、ないです…
 しかしあの人は例外です。
 社長に対する態度や発言
 どれを取っても最低以下。
 礼儀もないし自分の立場をわかっていません!
 なのに図々しく社長の下で働くなんて…」


次から次へと出てくるイトカへの悪態。
鮫島自身は気が付いてなかったが
彼女の本音としての感情が入っている事に
社長は冷静に理解していた。

それがわかっているから
彼女の言葉は相手にせず。


「お前にそこまで言う権利はないはずだ」

「ですがッ」

「あの女を選んだのは俺だ。
 文句があるなら俺が聞く。
 余計な口出しをするな」


思わぬ注意となった。
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