冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

『秘書である自分には
 社長は気を許してくれている』
そう勝手に思い込んでいただけに
思いも寄らない彼の言葉にショックを受け
同時に納得もいかず
唇をキュッと噛みしめた。


「昨日からあの女は
 雑用兼、俺のアシスタントにもなった。
 だから今後はお前も関わる事が増える。
 しっかりやれ」

「え…
 アシスタント…ですか?」


鮫島にとっては寝耳に水。
まさかそこまで話が進んでいたとは
自分が最も近くにいる存在だと思っていただけに
信じられない気持ちになった。

なぜ言ってくれなかったのか
なぜ秘書なのに知らなかったのか
なぜそこまでしてイトカを特別扱いするのか
とても許容出来るものではない。


「シバ社長は…
 あの人を気に入っているんですか?」

「は?何を言っているんだ」


唐突すぎるワケのわからない質問に
仕事の手を止め鮫島に視線を移す。


「秘書は私なのに…」


膝の上で拳を握り
思わず零れた本音。


「あの女に秘書は向いていない。
 しかしアシスタントとしては魅力がある。
 それだけだ」


想定外のイトカへのフォローが
鮫島を更に苦しめた。
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