冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
言った当人は
自身の言葉を気にするどころか
依頼されていた新作ワインの試飲で頭がいっぱいらしく
目の前に置かれたワイングラスを見ながら
ブツブツ独り言を言っている。

そんな社長を嫌悪しながらイトカは思った。


『昼間から良い身分で飲酒してるけど
 こっちの身にもなってほしいよ。
 社長って本ッ当のバカだと思う。
 空気と女心が読めない大バカだ』と―――




そしてこんな時に社長の携帯が鳴り…


「電話か…。
 しばらく離れる」


そう言い残し
イトカ達を2人きりにさせたまま
部屋を出ていってしまう有様。

唯一ストッパーになっていた社長が退出。

そうなれば鮫島だって容赦ない。


「さっきのはどういう意味?
 アナタ、シバ社長と一緒に住んでいるの?」


急に目つきが鋭くなり
低い声で静かに質問する彼女は
誰がどう見たって頭に血が昇っているのは確実。



…とは言え「『やっぱりお約束通りの展開だな』と
バレる事は容易に想像出来ていたため
イトカはそれほど驚かずに受け入れる事が出来た。


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