冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
「シバ社長がそう言うなら
そうなんですかね…」
社長に丸投げしてしまったところはあるが
イトカ自身も”同居”ではなく”居候”と
曖昧な線引きをされているだけに
それしか答えられないのが事実。
しかし
そんな事が通用する相手ではない。
「アナタ…
何を考えているの?」
鮫島はズンズンとイトカを窓際に追い込み
見下ろす形で目の前に立ちはだかる。
「別に何も考えていませんよ?」
自分より身長の高い鮫島からの抑圧を受けるも
意外と冷静。
女の嫉妬に巻き込まれるのは内心めんどくさいし
社長の手前、何事もなく終わる事が1番と考え
早めに撤退して大人しくするはずだった。
それなのに
事態はそんなに甘くない。
「一緒に住むなんて
どうせアナタが彼に媚びた結果でしょッ」
「はぁ?いくら社長に好かれたいからって
言い掛かりはやめてください」
売り言葉に買い言葉。
思わず反発してしまった。
もちろんそんな反抗をすれば
鮫島の怒りはヒートアップ。
「所詮アナタみたいな凡人
シバ社長は認めないわよッ」
デスク上のワインの入ったグラスを
勢いよくイトカに投げつけた。