冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
ロクに食事を摂ってないせいか体に力が入らず
疲労のせいか
朝より酷くなる頭痛に悩まされ
こめかみを押さえ横になる。
けれど他にも仕事が残っているため寝るワケにいかず
身体に鞭打って起き上がると
のっそりと部屋を出た。
ちょうどそのタイミングで
社長が帰宅。
「あ、お風呂すぐに準備を…ッ」
サボっていたと思われたくなくて
慌てて気を引き締めたのに
その反動からか急な眩暈に襲われ
階段の手すりにもたれ掛かりながら
ズルズルとその場に へたり込んでしまう。
「どうした?
気分が悪いのか?」
そんなイトカの異変に気が付いた社長は
彼女に近寄り同じ目線に腰を落とすと
普段見せない苦渋の表情で
心配そうに声を掛けた。
「…大丈夫です。
ただの立ち眩みなので…」
「とてもそうには見えないがな。
今日はもう休め」
「はい…」
社長の許可が下りたため
部屋に戻ろうと立ち上がるが
鉛のような疲労感と頭痛
そして眩暈が絶えずイトカに襲い掛かる。
「そんなにか…
少し辛抱していろな」
そう言ったかと思うと
次の瞬間
社長はイトカを抱き抱えた。