冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

社長からそんな言葉を聞くとは
微塵も想像していなかった。
それだけに返す言葉が見つからない。


「お前の様子がおかしいと思って
 俺も仕事を早めに切り上げたが…
 まさか倒れるほどだったとはな。
 1日辛かったのなら
 もっと早く帰らせれば良かった」

「倒れたは大袈裟ですが…
 え、もしかして社長…
 私のために早く帰ってきたんですか?」

「そりゃそうだろ。
 他に理由なんてあるか」


真剣な眼差しで
悪魔ま社長とは到底思えない発言に
思わず天使だと勘違いしてしまいそうなくらい
社長がカッコよく見える。

ドキッとしてしまったのはきっと
体調不良のせいだからだと
イトカは自分に言い聞かせた。


「すぐ近くに病院がある。
 医者を呼ぶか?
 診てもらうなら連絡する」


言いながら携帯電話を取り出すと
早々に連絡までしようとするし。


「そ、そこまでしなくて大丈夫ですよ。
 疲れていただけなので寝れば良くなると思いますし」


迅速な対応はありがたかったが
そこまで大事にされるのは返って困るので
連絡するのをやめてもらった。
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