冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

「待てお前…
 ココに来てから今まで
 いつも何を食っているんだ?」

「何って…
 コンビニのおにぎりとかですけど…」

「コンビニ!?
 って、この敷地内にはないだろ!」

「ないですよ。
 離れた先まで買いに行っていますし…」


『そんなに驚きます?』と
社長の反応が疑問でしかない。


「キッチン使って自分で作ったり
 レストランでもバーでも
 ココならいくらでも飯には困らないだろ!
 どうして利用しない!?」

「どうしてって…
 そんなの無理に決まっているじゃないですか。
 社長の台所を使うのは悪いですし
 この街はお値段がお高すぎて
 とてもじゃないけど庶民の私には手を出せません」


『だから金持ちは価値観が違うから困る』と
半ば呆れてしまうイトカとは裏腹に
『信じられん…』と
目を見開いたまま硬直していた社長だったが
急に真剣な表情に変わり。


「ちょっと待ってろ」


そう残し
部屋を出て行ってしまった。


「もしかして何か買ってきてくれるんじゃ…
 タダ飯ならラッキー」


呑気に喜びつつベッドに横になっていると
ウトウトと睡魔に襲われ始め。


社長の戻りを待たなきゃいけないのに
いつの間にか眠りに就いていた―――
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