冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
結局そのまま
眠り込んでしまったイトカ。
翌朝
いつもの時間にセットしていた置時計のアラームに起こされ
眠気眼にモゾモゾと腕を伸ばし音を止めると
再び頭まで布団を被って数秒・・・
「大変!
寝てしまった!」
昨晩を思い出したら一気に目が覚め
勢いよく飛び起きた。
窓の外はすでに明るく
鳥のさえずりさえ聞こえる清々しい早朝にも関わらず
後悔で青ざめてしまう。
「社長から”待っていろ”って言われていたのにッ
あわよくば美味しい食事にも有り付けたかもしれないのに!」
『私のバカぁぁぁ』と
枕を叩いて当たり散らしながら項垂れた後
時計を見て嘆いている場合じゃない事にハッとする。
刻一刻と出勤時間に煽られながら部屋を出ても
いつもと同じく静寂に包まれた寒々しい屋敷内に
社長の気配は感じない。
彼の出勤はいつも遅い時間だから
イトカが起きる朝方に姿を現す事はなく
大概、顔を合わせるのは会社だけ。
そう考えると”同居”より”居候”は頷けた。