冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
早めに寝落ちしたおかげか
昨日より気分もスッキリし眩暈も治まったため
食事は諦めシャワールームへと歩みを進めると
静かな屋敷内に微かな物音が耳に入った。
「誰かいる…」
自分か社長以外の”誰か”だと
姿も見ていないのに決めつけて
物音のする方へとヒッソリと進んでいくと
その音はどうやらキッチンかららしい。
少しだけ扉を開け
覗き見るように中の様子を伺うと
シンクで洗い物をしている社長の姿を見つけた。
「シバ社長!?」
想像もしていなかった人物に
ビックリしすぎて扉を全開。
響くイトカの声に
社長も扉に顔を向けた。
「起きたか。
気分はどうだ」
洗い物を終えたらしく
手を拭きながらイトカに応答。
「もう大丈夫ですが…
それより社長…何をされていたんです?」
「見てわかるだろ。
洗い物だ」
「確かに見てわかりますが…
そうじゃなくて」
『聞きたい事はそこじゃないんだよなぁ』と
小さく呟きながら中に入った。
「遅起きの社長が
こんな朝早くに…どうかしたんですか」
「いいからシャワーを浴びてそれを食え」
淡々と命令口調で指さす先には
高価な食器に盛りつけられた3品の食事。
真っ白なキッチンマットに置かれている。