冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
楽しそうな場は一変。
声を掛けられた鮫島は金我の姿を見るなり
酷く怯えた表情で後ずさりしてしまう。
「そんなに警戒する事はない。
怖がらなくて良いぞ。
何もしない」
誰が見たって明らかに嘘だ。
口元はニヤっとし
瞬き1つせずギラギラした目は
下心しかない顔つきだ。
「あの…社長が待っているので…」
「柴永社長なら
先程、別の者に呼ばれてココにはいないのだよ」
言いながら
ジリジリと鮫島に近寄ってくる。
「今日のキミは
着物が似合って凄く綺麗だ。
なんとも美しい。
もっと良く見せてくれ」
鼻息を荒くしながら
今にもその体に触れようとし
鮫島は金我の行為に
涙を浮かべて震えていた。
そんな光景を
見ないフリなど出来なかったイトカ。
「金我様。
恐れ入りますが、その辺りで止めてください」
鮫島の前に立ちはだかり
彼の行為を強引に中断させたのだ。
「なんだね、キミは」
邪魔に入られた事が気に食わなかったのか
鋭い目つきで見下してくる。
「私は…」
いきなり飛び出したはいいが
立場を名乗れるような身分がない事を思い出した。