冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
金我はイトカを見下ろしながら言う。
「あー、思い出した。
キミは確か社長室にいたね。
一体、誰なんだい?」
「それは…」
社長の雑用・アシスタントと言うべきか
しかしそれを言えば社長に迷惑が掛かるかもしれない。
自分から首を突っ込んだのに
社長を巻き込みたくなかったイトカ。
「私は…ただの清掃業者です」
また嘘をついた。
信じるかはわからなかったが
とりあえず社長が戻るまで
この場を収めるだけの時間稼ぎをする事だけ考えていた。
「…そうなんだね」
初めは怪しんでいた様子だったが
他の人達と違い着物を着用していなかったのが功を奏したのか
それ以上は突っ込まれずに済んだ。
「その掃除屋さんが
私の邪魔をするのはどうかとは思うが…」
何か名案を思い付いたのか
今度はイトカを見るなり
ニヤリと笑みを浮かべて言う。
「秘書は敷居が高いからね。
まぁ、キミでもいいや。
今晩、会員制のバーに来て私の相手をしなさい」
突然の恐ろしい誘いを受けた。
”相手にする”だなんて
完全に身体を持っていかれる。
そんなわかりきった誘いを断ろうとしたが…