冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
「ちょっとアナタ、バカなの?
何を考えているんです?
あんな無謀な約束…
あの男が素直に守るとでも?
何されるかなんて考えなくてもわかるはずでしょ?
金我がいなくなった瞬間
鮫島から耳元で説教をされた。
「それくらい…
わかっていますよ」
答えるイトカは
非情に落ち着いている。
「じゃぁどうしてッ」
「シバ社長の…ためです。
それは鮫島秘書も同じなはず。
彼の居場所を失うのは…イヤでしょ?」
冷静な口調のイトカの言葉に
何も言えなくなってしまった鮫島に
彼女は続けて言う。
「この事は
何があってもシバ社長には絶対言わないで。
余計な揉め事に巻き込みたくない」
イトカの決意に
鮫島は黙って言う事を聞くしか他になかった。
その夜―――
「あの女
何が『今日はプライベートで用事があるので帰りまーす』だ。
ふざけているのか?」
「…。」
事情を知る鮫島は
何も知らない社長に話せず悶々と思い悩んでおり
そんな彼女の様子がいつもと違い
社長もまた違和感を覚えていた。