冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
社長が言わんとする意図が見えず
そしてなぜ途中で言うのを止めてしまったのか
疑問に思うが説明される事はなかった。
シバ社長のような影響力のある人物が
よりによって本人の口から直接”婚約宣言”なんてすれば
あっという間にリーベンビルズ他
ビレッジ内すべての人に耳に入るのは当然の事。
イトカを知らない人達が大半だけに
様々な憶測が飛び交う。
『一般庶民が金のために玉の輿を狙った』
『社長を誘惑して寝取った』
『庶民に手を出したシバ社長は落ちぶれた』
今後の社長生命に関わる事を恐れた。
「婚約の契りとなる誓約書だ」
引き出しから取り出した1枚のA4サイズの紙を
イトカに見せるようにデスク出され
『婚約に誓約書って…』と
改めて金持ちのする事は違うなと感じつつ
用紙に目を通す。
「本当にします?婚約…」
いろんな意味で心配になり
社長に聞いてはみるが。
「当たり前だ。
俺に二言《にごん》はない」
「そうですか…」
胸を張って堂々と言われてしまうと
何も言えなくなってしまう。