冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
好きだという気持ちを
こんな形で勢いのまま言うつもりがなかったのだ。
『秘書して傍に居られれば…』と
そんな淡い恋心を抱くだけだったのに…。
しかし社長の困惑した表情で
本人から聞かずとも
自ずと答えは見えてしまった。
社長が特別な想いを抱いている相手は
イトカなのだと―――
「あの…誤解なさらないでくださいね。
好きと言うのは…
社長を尊敬しているとの意味でして
決して恋愛がどうとかではなくて…」
面と向かってフラれる勇気がなく
言い訳で誤魔化して無理矢理なかった事にし…
「私はシバ社長の秘書です。
貴方がココを去ってしまったら
私の居場所もなくなります。
だからどうか…
ご自身を犠牲にして
辞めるなんて仰らないでください…」
”秘書の私”として
今考えないといけない事は社長の進退だと
精一杯、恋愛感情を押し殺し
”仕事として”気持ちを伝えた。
「鮫島…お前
俺を…」
何か言おうと口を開いたが
社長の携帯に入った着信によって
邪魔をされてしまった。
「悪い…
席を外す」
気まずさが残りつつも
社長室を出て行ってしまう。