冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
恋をして社長を失うより
”社長と秘書”
その関係でもいいから
これからもずっと傍にいたい…
彼を支え守り続けたいと
残された鮫島は、たった1人
涙を堪え辛さを耐えていた―――
入れ違うように社長室に入ってきたイトカ。
すれ違いざまに見えた社長の表情は複雑そうで
鮫島は目線を外し唇をキュッと締めている姿に
『何かあったな』と勘が走る。
「…どうかしたんです?」
「…何でもありません」
イトカに声を掛けられた鮫島だが
泣いていた事を知られないようにか
いつも通りの愛想の欠片もない態度を取りながら
社長のデスクに広げられた書類をまとめている。
見る限り
社長に何かあったのか
社長と何かあったのか
どちらにしても
あまり良い雰囲気ではない事は確かに思えたが
鮫島が本当の事を言うとは思えず
あえて聞く事もしなかった。
けれど―――
「アナタは…
このままでいいと思いますか?
意外にも
鮫島からイトカに話を振った。
「シバ社長は今
とても苦しんでいます。
食事もロクに食べていないんです」
鮫島は冷静に言いながらも
無意識に拳に力を入れ
悔しい気持ちを滲ませている。