冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
鮫島の社長を思う気持ちが強く表れていて
胸が締め付けられた。
『社長が食事も喉に通らないほど悩んでいるのは
私が苦ませているせいだ』と…
目が覚めるって
こういう事なんだとハッキリと実感。
「シバ社長の体調が
私はとても心配…
ずっと悩んでいるみたいですし…」
「どうしてくれるんですか』と
言いたげなニュアンスを感じ取り…
「大丈夫です。
社長を守りますので
ご安心ください」
鮫島からすれば
根拠のない”大丈夫”にしか聞こえないが
イトカはしっかりと決意を固めていた―――――――
――――その夜。
「はぁー…
疲れたな…」
真っ暗で静まり返った自宅へと帰ってきた社長。
気疲れからか、その足取りは重たく
普段はほとんど言葉にしないのに
思わず『疲れた』と溜め息が出るほど
困憊しきっていた。
ネクタイを緩めながら
気怠そうにキッチンへと足を進めるが
なぜか灯りが点いている。
「木瀬か?」
姿は見ていないが
すぐにわかるのは…当たり前。
イトカと違い
この豪邸には社長とイトカの
2人しかいないのは百も承知だったから。