冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
黙々と無言・無表情で食べる社長だが
『食べてくれて良かった』と
自然に笑みを浮かべ
後片付けをするためにキッチンに戻ろうとした。
すると…
「木瀬…」
「…ん?」
「…ありがとうな」
ツンデレか?と思うくらい
あの冷酷社長からの感謝の言葉に
不意打ちを喰らってしまい
イトカは少し驚きながらも。
「何言っているんですか。
お礼を言われる事は何もしてないですよ。
前に社長が私にしてくれた事と
同じ事をしただけ。」
新しい生活に慣れなかったイトカを
気に掛け手料理を振舞ってくれたお返しだと伝えた。
「そうか…
そういえばそんな事もあったな」
「今日はあの時と
まったく逆ですね」
「あぁ…確かにな。
だがどうして俺に飯を…?」
「鮫島秘書が言ってました。
最近の社長
食事もまともに食べてないって…」
「そう…だったか?」
自分の状況を自覚していなかったのか
『そういえばそうだったような…』と
曖昧な反応。
「無自覚だったんですか?
それこそ危ない。
身体あっての仕事なのに
倒れたらどうするつもりですか」
イトカが説教染みた事を言うが。