冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】
朝早くから始まった総会は数時間にも上り
ようやく終わったのは昼を疾う(とう)に過ぎていた。
「シバ社長ッ」
疲れ切って戻ってきた社長を見るなり
今にも泣きだしそうな顔で
勢いよく駆け寄ってきた鮫島。
「なんて顔をしているんだ、鮫島…」
「ですが貴方が心配でッ」
慌てふためく鮫島に
『ひとまず珈琲を淹れてくれ…』と頼み
グッタリした様子でデスク堰に腰を下ろし
大きな溜め息と共に頭を抱えている。
「はぁ…今日ばかりは本当に疲れた。
説教ばかりは懲り懲りだ。
こんなのはもう御免だな」
「お疲れさまでした…社長」
逸る気持ちを無理に抑え
平然を装って珈琲を置く鮫島に
社長はようやく本題を伝えた。
「お前にも心配を掛けてすまなかった。
俺はもう大丈夫だ」
「それはつまりッ
社長は辞めずに済んだという事でしょうか!?」
「あぁ…そうだな。
金我様とはまだ話していないから
完全に全部終わったとは言えないがな」
『それでも良かった』と
涙を浮かべ安堵する鮫島。
「あとは木瀬についてだが…
そういえばアイツはどうした?」
彼女の姿が見えない事に不思議に思い
鮫島に問い掛けるが…