冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

短い期間ではあったが
それでもその1日1日を思い出すと
とても尊く大切な経験をさせてもらえたと
考えれば考えるほど気持ちが落ち込む。

自分で決めた事であり
社長を守るための決断だと頭では理解しているのに
とても複雑だった。


そんな思いを抱えながら
独り感傷に浸っていたのだが…


「…何アレ」


ちょうど目の前を結構なスピードで通り過ぎていった
1台の黒い高級セダン車の方に気が行ってしまった。


1度は通過していったのに
しばらくすると
またもハイスピードで戻ってきて
今度は家の前で停車。


「嘘…」


出てきた人物を見て
浸っていた思い出も現実に引き戻された。


「このバカ女が!」


イトカに気が付き
近所等お構いなしに2階に向かって大声で叫ぶ
社長の姿だ。


「どうしてココに…」


驚いて放心状態になり
その場に硬直していたが
あいかわらずの社長。


「お前って女は
 何を考えているんだ!」


声のボリューム調節なんて知らないのか
感情のまんま叫びだし
その騒ぎに近所の人達は外の様子を見る者で
あっという間に注目を浴びる事になる。
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