冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

このまま放置していたら
近所迷惑で騒音騒ぎのクレームになる恐れがあり
社長を止めるために急いで玄関へと飛び出すが
別の意味で、すでに間に合わなかった・・・・


『あの人って
 もしかしてリーベンビルズの社長さんじゃない?』

『本当、絶対そうよね。
 木瀬さん宅に何の用かしら』

『問題を起こしたんじゃない?
 じゃなきゃ社長直々に来ないわよ』

『まさか犯罪関係かしら…』

『それにしてもカッコいいわね』


ご近所さん好物の噂が
ヒソヒソと聞こえてくる。
しかも本人に対する感想付きで。


「こんなところで何しているんですかッ」

「それはこっちのセリフだアホ!
 なぜ俺の許可なく黙って勝手に出て行ったんだ!」


”許可なく勝手に出て行く”なんて
まるで監禁先から逃げ出したような言い方。
そんなのがご近所に聞かれたりでもすれば
犯罪事件が色濃くなってしまう。


「こんな住宅のド真ん中で
 そんな誤解を招くような発言を
 大声で叫ばないでくださいッ
 それでなくても社長は
 存在自体が目立つんですからッ」


言ってるそばから本人も叫んでいる。
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