ごめん



あ、帰る。だいきくん達が食べ終わった。車の鍵の音がする。そろそろレジに来る。

今度はおばさんからの目配せがある前に動く。めんどくさいから。レジまでひとっ飛び。すぐ着く。狭い店。


「ありがとうございます」


ほらきた。予想通り。でもクソ、最悪。なんでこのタイミング。20:50、私が帰る10分前。もうちょっと居てくれよ頼むから。


「…のお返しです。ありがとうございました〜た」


願い虚しく帰っていく。背中を見送る。嗚呼嫌だ。恋してるみたいだ。してるのか?いやしてない。イケメンを拝んでいるだけ。目の癒し。疲れの癒し。日々の癒し。


おばさんが、お皿を下げている。手伝うか。どうせすることもない。


「よかったわね〜。また会えて」


話しかけてくると思った。いいけど。おばさんと話すのは楽しいから。このおばさんは好きだ。


「うん。かっこいいよ」


「好きなんでしょ〜あー私も恋した〜い」


好き?まさか。かっこいいだけ。
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