ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜

隆春



 家に着いたら、千波さんからメッセージが来ていた。

 ーーーありがとう

 一言だけ。
 多分「今日来てくれてありがとう」だと思う。
 前後の文も打てないくらい余裕がないんだ。

 40度って。俺は、そんな高い熱を出したことはない。
 いったいどんな状態になるんだろう。
 千波さんは、とにかく辛そうだった。
 動くのがゆっくりで、ふらふらもしていた。
 ぼうっとしていて、声はスカスカ。
 目がうるんでて、顔は赤くて。
 そこは可愛かったけど、それよりも辛そうで。
 
 抱きしめて千波さんが楽になるなら、いくらでも抱きしめるのに。
 心配しかできなかった前回よりも近くにいるのに、何もしてあげられなかった。
 眠るまで側にいようと思ったけど、千波さんは眠れないみたいだったし、「帰って」と言われてしまった。

 俺は落ち込みながら帰ってきた。

 まだ、千波さんの役に立てない。
 千波さんは、物理的にも精神的にも自立していて、俺に頼ろうとはしない。
 甘えてくることもあまりない。
 具合が悪い時でさえ、1人でなんとかしようとする。

 好きでいてもらえてるのはわかってる。
 信用もしてもらえてる。

 でも、頼ってはもらえない。
 全てを預けてはくれないのだ。

 待て待て。
 まだ、付き合い始めて3ヶ月半くらいだ。全てを預けるなんて、できなくて当たり前だ。
 俺は未熟だ。
 まだ、千波さんが頼れる男になれてない。そういうことだ。
 じゃあ頑張るしかない。

 それはわかったけど。
 一体どうしたらいいのか。
 ため息は止まらなかった。



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