ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜
仕事始めの日、いつも通り出勤した。
千波さんには、犬グッズの小さめトートバッグをお土産に買ってきた。
システム課の新年会があるので、帰りに渡すつもりだった。
システム課は、毎年年末が忙しいので、忘年会はやらず、その代わり新年会をやることになっている。
歓送迎会や普段の飲み会は、チームかフロアごとにやるのだけど、新年会だけは課の行事として全体でやるんだそうだ。
4チームと課長、開発部長も来るし、なかなか大人数だった。今回は来ないけど、時々社長も来るらしい。
俺は座敷の端に座っていたら、真ん中の偉い人が座るところにいた課長に、中村さんと2人で呼ばれた。磯貝さんの横に座らされて、開発部長の激励を受ける。
「今年度入社組は、みんな期待できるって評判でね。期待してるから」
そう言われて、井上と交代。チーム毎に一言もらっていくらしい。
「これだけで済むんだから、まだいい方だと思うぞ。他の部署はもっと相手しないといけないらしいから」
小田島さんがささやいた。
「まあ飲みなよ。須藤君が酔ってるとこ、まだ見たことないし」
村田さんがメニューを渡してくる。
「今日はさすがに酔えないですよ」
受け取って、見る振りをする。
今日は千波さんにお土産を渡すんだ。酔っ払う訳にはいかないので、ビールだけを飲むことに決めていた。量も加減している。
千波さんは、反対側の端で、下フロアの女性社員さん達と「わーい女子会〜」と盛り上がっている。中村さんもそこに戻って、総勢6人だ。
途中から、何故か井上がそこに加わっていた。
井上は、女の人達に混ざっても違和感がない。お姉さんと妹がいるからそのせいかな、と自分では言っている。人見知りの千波さんも、井上には割とすぐに馴染めたと言っていた。
今も楽しそうにみんなでおしゃべりしている。
俺は席を移動しつつ、普段関わることが少ない下フロアの人達と飲んだ。
異動もあるかもしれないし、お互いに助け合うこともあるかもしれない。
いろんなことを話して、勉強にもなったし、刺激も受けた。
楽しい新年会だった。