ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜
『見てればわかるから』
『あんなに大好きオーラ出してるの見たら、あきらめるしかないかって思いますし』
前に筒井課長にも『ちらっと見ただけでもわかった』と言われたし、やっぱりだだ漏れてるのはごまかせなかったのか。
前に、小田島さんに言われたことを思い出す。
『須藤は、本田には笑うんだよなあ』
『無口で無表情でクールって評判だけど、本田の前ではそんなこと全然ねーの』
『笑うし、しゃべるし、焦るし、赤くなったり、照れたり、見てるこっちが恥ずかしいわ』
千波さんの前では、取り繕うことなんてなくて、素直に自分を出せた。
意識して、態度を変えてた訳じゃない。
だから、周りにも愛想を振りまいて、ごまかそうとしたんだ。
それでも『見てればわかる』んなら、他の人もわかっているに違いない。
じゃあ、もう隠したり、ごまかしたりするのはやめる。
千波さんを、余計ないざこざに巻き込まないためにしたことだったけど、わかってしまうんなら意味がない。
告白しよう。
俺はそう決めて、階段を上がった。