ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜
井上君おすすめのハンバーグを食べに、お店に向かう。
駅の向こう側に出ると、道幅が狭くなって、その割には車が通る道で。
須藤君は、車が通る時にはさりげなく私をかばってくれる。
今までは、先輩に気を遣ってくれているだけだと思っていたけれど、女性として守ってくれているんだとわかった。
お店は、知らないうちに予約してくれていて。
なんだか、凄く大切にされている気分になる。
嬉しい。
そのことのお礼を伝えていたら、顔が熱くなってきた。多分赤くなっている。
恥ずかしくて、須藤君の顔が見られない。
目を伏せていたら、須藤君の小さな声が聞こえてきた。
「紳士、とかではないです、よ……」
余りに声が小さくて、思わず聞き返す。
「え……?」
視線を上げると、須藤君はまだ赤い顔で、口元を手で抑えていた。
だから聞き取りづらいのかな。
須藤君は、そのままもごもごと続けた。
「……本田さん、だから……」
私、だから……?
その続きが聞きたかったのに。
「お待たせしました。セットのサラダです」
店員さんが明るくやってきて、話は終わってしまった。
ごまかすように笑う須藤君に、話を蒸し返すことはできなかった。
ハンバーグは凄くおいしかった。
他のメニューも豊富なので、今度来たら違うものを食べようと思った。
今度来る時も、須藤君と一緒に来られたらいいな、と思った。