ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜


「じゃあさ、これから見ててよ」
「え?」
 今度はきょとんとしている。
「俺が変わるか変わんないかなんて、俺でもわかんないし、千波さんだって変わるかもしれないでしょ?」
 千波さんは、やっと目を合わせてくれた。
「……うん」
「でもさ、俺は千波さんと結婚したいって思ってるから。それ、信じてもらえるように、頑張るから」
 なるべく重たくならないように、千波さんが負担に感じないように、笑ってみる。
「千波さんが、結婚してもいいって思ってくれるまで、待つよ」
 千波さんは、あの視線で俺をじっと見ている。
「まず、頼りになる彼氏になるから。仕事頑張るし、千波さんが必要な時にはいつでも飛んでくるよ。言ってくれたらご飯も作るし、マッサージもする。落ち着くんなら、ずっとハグするよ」
 千波さんがクスッと笑った。
 良かった。
「……じゃあ……」
 そう言って、黙ってしまう。
 でも深刻じゃない。何か恥ずかしそうだ。
「なに?」
 目を伏せたので、覗き込む。
 一度目が合ったけど、今度は横にそらされた。
「……頭、なでて」
 そう言ったら、顔が赤くなった。
 可愛い。可愛くてたまらない。
 手を伸ばして、頭に置く。
 ふわふわの髪をなでて、抱き寄せる。
「……はるちゃん」
「ん?」
「……大好き」
 話をして戻りかけてた理性が、またふっ飛んて行った。
 キスをして、強く抱きしめる。
 深く求めながら、ブラウスを脱がせた。
 露わになった肩に興奮する。
 口付けると、ビクッと反応する。それも可愛い。
 肩にちゅっちゅっと繰り返しながら、手は胸をやわやわと触る。
 千波さんの息が甘くなってきた。
 肩から、段々首筋に近付くと、反応は強くなる。
 そのまま寝かせて、リモコンで電気を消した。
 真っ暗になったけど、カーテンの隙間から外灯の灯りが少し見える。目が慣れれば、ちょっとは見えるはずだ。
 それまでは、と、唇にキスをする。
 千波さんは、俺の腕のところのシャツをぎゅっと握っている。それも、凄く可愛い。
 不安はまだあるのかもしれない。
 怖がらせないように、頭をなでながら、もう片方の手はお腹から下着の下に差し入れて、胸を直に触る。
「んっ……!」
 千波さんが、大きく反応した。
 唇を離すと、甘い息を漏らした。
 俺は、手を大きく動かす。やわらかくて、気持ちいい。
 キスは首筋に。ペロッとなめると、ピクッと反応した。
「可愛い」
 首筋にキスを繰り返すと、千波さんの息が荒く、甘くなる。
 俺も興奮してきて、服を全部脱がせた。
 暗闇に、白い肌が浮かび上がる。
「さっきも言ったけど、綺麗だよ」
 千波さんが息を飲んだ。でも今度は隠せない。俺が、手を押さえているから。
「声も、聞かせて。俺の大好きな声」
 肩にキスをする。
「私の声?……好きなの?」
「そうだよ」
 言いながら、キスを下ろしていく。
「一番初めに好きになったのは、千波さんの声」
 胸のふくらみを口に含む。
「あっ……やっ……」
 甘い声が聞こえてゾクゾクする。
「もっと聞きたい」
 キスをするうちに、自分の服が邪魔になる。
 もっと、全身で、千波さんを感じたい。
 素早く服を脱いだ。
 千波さんを抱きしめると、やわらかい体がピタッと俺にくっつく。
 頭の中は沸騰していた。めちゃくちゃに抱きたい衝動をなんとか抑え込む。
 千波さんを怖がらせないように。気持ち良くしてあげるのが、今日の目標。
 唇を求めながら、手は背中から腰へ、お尻から太ももへ。
 千波さんは、俺の背中に手を回して、ぎゅっとしがみついている。千波さんの手はあったかい。
「千波さん、可愛い」
 耳元でささやくと、息を飲んで、恥ずかしそうに目をぎゅっと閉じた。
「やだ、そういうこと言わないで」
「やだ言う。可愛い」
 ほっぺたにちゅっとすると、手で顔を隠してしまった。
「それも可愛い」
 手の甲に軽くちゅっとして、胸にもする。胸はノーガードだ。
「こっちも可愛いよ」
 片方はやわやわともみながら、片方は口に含む。
 千波さんの甘い声が聞こえる。
 それに一層興奮して、手は内ももをなでた。
 そのまま一番敏感なところに手をあてる。
 千波さんの体がビクッと震えて、声が上がった。
 ゆっくりと、指を入れる。
 千波さんは息を止めているけど、痛くはなさそうだ。
「千波さん、こっち見て」
 ほっぺたにキスをすると、千波さんはとろんとした目で俺を見た。目を開けたからか、息もちゃんとしている。
「千波さん、好きだよ」
 唇にキスをする。
「俺を信じて。任せてみて」
 千波さんは、じっと俺の目を見て、しっかりと頷いた。
 俺は、また唇にキスをする。今度は深く。
 同時に、中の指をゆっくり動かし始めた。
 キスをしたまま、千波さんの息と声が漏れる。最高に色っぽい。
 唇を離すと、息が大きく聞こえる。
 声は我慢してるみたいだけど、我慢できなくて出てくる。それが可愛くて、ついいじめたくなる。
 胸にキスをする。指は動かしたまま。
 ビクンと、大きく反応した。
「……感じた?」
 耳元でささやいたら、コクコクと頷く。
「可愛い」
 もっと感じてほしい。
「上書きするよ」
「……うわがき?」
 とろんとして、意味がわかってるかな。でも可愛いんだけど。
「前の一回。全部消して、俺のデータだけにする」
「え……?」
 目を見開く千波さんに、キスをした。
「千波さんは、俺のだよ。俺だけの、千波さんだからね」
 指をゆっくり大きく動かすと、周りが段々なめらかになってくる。
 息と声も、大きくなってきた。
「やっ、須藤君」
「違うよ」
 キスをして、ニッと笑う。
「千波さん、ちゃんと呼んで」
「あ……はるちゃん……」
 切なそうな声に、更に興奮する。
「なに?」
「あの……怖い……」
「ん?痛いの?」
 千波さんは首を横に振る。
「なんか……どうなるの、私……」
 ああ、そういうことか。
 俺はフッと笑った。可愛過ぎる、この人。
「心配しないで、どうもならないよ。気持ち良くなるだけだから」
 指の動きを段々大きく、早くする。
 千波さんの声がたくさん聞こえる。
 背中の手に力が入った。
「そろそろいいかな」
 俺は、素早くゴムの袋を開けた。
 中から取り出して、自分に着ける。
「あっ、は、はるちゃん……」
 千波さんが切なそうに俺を見上げる。
 俺は千波さんの足の間に入った。
 そして、千波さんに覆いかぶさる。
「千波さん、息吐いて」
「え?」
 耳元でささやく。これ、弱いみたいだ。力が抜けてふにゃっとなる。
「息止めないで、力抜いてて……挿れるよ」
 グッと腰を前に出す。
 千波さんの顔が苦しそうになる。
「千波さん、息吐いて」
 言われた通りに少しずつ息を吐く。
 吐いたら自動で吸うから、吐く方を優先する。ばあちゃんが教えてくれた。
 俺は、全部を挿れて、千波さんをぎゅっと抱きしめた。
「千波さん……気持ちいい……」
 呟くと、千波さんが小さな声で言った。
「ほんと……?はるちゃん、気持ちいいの……?」
 千波さんはまだちょっと苦しそうだ。
 俺は頷いた。
 気持ち良くて、めちゃくちゃにしてしまいそうだ。
「やばい。我慢できないかも」
 千波さんが、手を首に回して言う。
「我慢、しなくても、いいよ……?」
 ああ、しまった。そんなこと言われたら。
「千波さん……」
 一回、動く。
 千波さんが悲鳴に似た声を上げて、息を止めた。
「我慢しないって、こういうことだよ?」
 ちゅっと軽くキスをする。
「まだキツいでしょ?もう少し……」
「いい、よ」
「え?」
「大丈夫、だから」
 千波さんは俺を見て、微かに笑った。
「我慢しないで、はるちゃん」
 俺の中で、何かが途切れた。
「好きだよ、千波さん」
 一言言って、動き出す。
 最初は苦しそうだった千波さんが、段々それだけじゃなくなって、また息が甘くなる。
 声も、甘い。感じてくれているみたいだ。
「ごめん……俺、余裕ない……」
 俺はもう、気持ちいい、ただそれだけ。
 千波さんの息と匂いと、声に包まれて。
「……はるちゃん……」
 その声で名前を呼ばれたら、最高に気持ち良くなった。

 脱力して、千波さんに覆いかぶさる。
 やっぱり最後は自分勝手になってしまった、と落ち込みそうになったら、千波さんがぎゅっと俺を抱きしめた。
「はるちゃん……気持ち良かった、よ……」
 千波さんが、俺の頭をなでてくれている。
「ほんとに?」
 そう聞くと、千波さんは頷いた。
 そして、笑った。俺の大好きな笑顔だ。
「上書き、完了ね」
 涙が出そうだった。
「ありがと、はるちゃん」
 ぎゅうっと、抱きしめ合う。
「千波さん、大好きだよ」
「私も、大好き、はるちゃん」
 2人で笑い合った。
 こんなに幸せなことがあるなんて思わなかった。



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