ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜


 そのまま抱きしめ合っていたら、千波さんがすうっと寝息を立て始めた。
 疲れたよな。そんなに激しくしたつもりはないけど、大分久しぶりのはずだから。俺もそうだけど。
 寝顔が気持ち良さそうだ。

 俺は、千波さんに布団をかけて、そっとベッドを降りる。
 キッチンの小さい蛍光灯だけを点けて、Tシャツとトランクスを着て、食事の途中だったテーブルの上をかたづけた。
 冷蔵庫のビールをいただくことにする。
 プシュッと開けて一口飲んだら、背にしていたベッドから声が聞こえた。
「ん……」
 千波さんが寝返りを打つ。
 こっちを向いた寝顔は、本当に可愛い。
 うっかりまた襲ってしまいそうだ。
 気を付けないと抱き潰してしまう。
 そのくらい、千波さんへの想いは大きくなっていた。

 結婚は本気にしてもらえなかったけど、俺はもうする気になってる。
 今までと同じだ、大丈夫。『ただの後輩』から『彼氏』にまでなれたんだ。
 ゆっくり進んでいこう。
 ずっと一緒にいるために。

 ビールを飲み終えて、缶を洗う。
 振り返ると、千波さんはすやすや眠っている。
 筒井課長の話だと、他人がいると眠れないってことだったけど、眠っている。
 俺は側にいても平気なんだろうか。
 だとしたら、本当に凄く嬉しい。

 千波さんを感じながら眠りたくて、ちょっと変態チックだと思いながら、さっき着たTシャツとトランクスを脱いで、ベッドの千波さんの横に入った。
 抱き寄せる。
 千波さんは、ぐっすり眠ったまま。
 可愛くて、キスをする。
 起きる気配はない。
 もう一度キスをして、胸に抱き寄せた。
 これ以上すると、止まらなくなる。
 自分の顔の下に、千波さんの頭がくるようにした。
 千波さんの髪の匂いに包まれて眠りたかった。
 もう、変態でもいい。
 俺は、気持ち良く眠りについた。



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