好きは色づく花。
葵と一緒に購買横にある自動販売機で4人分の飲み物を買った。
「あのさ、帰ったらすぐうちに来る?」
「なんのこと?」
「あれ、聞いてない?今日、菫の両親デートだからうちで夕飯お願いされてるんだけど」
そんな話はじめて聞いた。
もしかして、と慌ててスマホを開く。
「あ、本当だ連絡来てる。気づかなかった…」
「で、どうする?」
「それなら手伝いたいし、すぐに行っても平気?」
「いいよ。父さんに伝えておく」
誰かが誰かの家でご飯を食べたりするのは、よくあったりする。
親同士が仲が良いからだ。
だから小さいころからこんな感じ。
「それにしても、菫の両親っていくつになっても若いよね」
「そうなの。いまだにこうやってよくデート行くし、家でもラブラブで…時々目が当てられない」
「まあ、でも仲がいいのはいいことだよ」
「そうだね」
葵が「少しうらやましい」と小さくつぶやいた。
「葵?」
「なんでもない。さ、戻ろう」
「うん」