好きは色づく花。
「よし、じゃあ始めるか」
生徒が滅多に入ることの無い資料室は、乱雑に置かれた本や書類などで荒れていた。
「これじゃあ、どこに何があるのか分からないな」
良くここまで荒らしたもんだ、と楓は呆れた。
「だいぶ前からこの状態だからな。どの先生も何があって、どこに戻せば良いのか分からなくなって、適当に置いていった結果だな」
「何から始めますか?」
「そうだな、ひとまず科目ごとに分類するか」
こうして私たちは作業を始めた。
先生の指示通りに黙々と作業を続けて、どれくらい経っただろうか。
散乱していた物も分類され、作業も半分近くまできた。
「やっと終わりが見えてきたな」
「そうだね。あとは綺麗にまとめれば…」
「2人ともご苦労様、もうひと踏ん張り頼む」
と、そこへ…
「清水先生!こちらにいらしたんですね」
「鶴田先生、どうされました?」
息を切らした現国担当の鶴田真由美先生がやってきた。
彼女は清水先生と同期で、どうやら清水先生が好きらしい…と噂で耳にした。
「授業のことで質問がある生徒が職員室に来てて…。お忙しいところ申し訳ないのですけど、対応していただけませんか?」
「分かりました、直ぐに行きます」
「ありがとうございます」
「てことで悪い、少し行ってくる。資料の配置はこの通りだ。すぐ戻る」
そう言って楓にメモ用紙を渡すと急いで鶴田先生とその場を去っていった。
「…続けるか」
「そうだね」