可愛い弟じゃいや。

―――キーンコーンカーンコーン―――

やっと一日が終わった。

急いでかんちゃんのクラスにって、

ん?

かんちゃん

いないんだけど…。

かんちゃんの席、カバンだけ…

ってまさか!!

またかよっ!

俺は急いで校舎裏に走った。

クソっ

体育でもこんな全力で走ったことねぇよ。

2階の廊下から校舎裏を覗く。

やっぱり。



あとちょっとだ。












はぁ、はぁ、

全力疾走したせいで、息が上がった。

運動不足だ。

かっこ悪。

なんてどーでもいい。



「俺さ、柑奈ちゃんのこと、好きです。
ずっと前から…。
俺と、つきあ『かんなっ!』」

そいつの言葉をさえぎり名前を呼ぶ。

俺のことを知ってるのか、一瞬、罰が悪そうな顔をした。

でも、そんなことはどうでもいい。

グイッとかんちゃんの腕を引っ張って、後ろから抱きしめる。

「えっ…
たっちゃん…?」

驚いた顔で俺の様子をうかがってる。

かわい…。


この状況で、












はぁはぁ、はぁ







うん。

やっぱかっこ悪い。

でも。

「俺、かんなのこと誰にも渡す気ねぇし、奪わせる気もねぇから。」

これだけは絶対だ。

相手を睨むと、

「あ、うん、ごめん…。」

とだけ言って帰っていった。

「たっちゃん…?」

今まで黙っていたかんちゃんが不安そうな声で俺を呼んだ。

「ん?どしたの?」

思ってたより優しい声が出て自分の声じゃないみてぇ。

「ほんとに、たっちゃん、だよね?」

顔を真っ赤にして聞いてくる。




か わ い す ぎ 。





じゃなくて!

ほんとに俺かって、

ん?


















あっ



終わった…。
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