聖人女王の転生譚
「彼らの人生のすべてが間違っていた」
「人間が狂わせた歯車を神が干渉し正すことはほとんどない」
「聖人の処刑とはつまり損失なのだ」
「そなたの国の民が間違い、犯し、これから先不幸になるためにそなたは死んだのだ」
つまり天罰などという自分を咎めた死ではないのだ。
自分の行いは間違っていなかったのだと聞かされてほっと胸を撫でおろす。
良かった。良かれと思って舵をとってきたがそれらはきちんと認められる行いだったのだ。
転じて他人の不幸のために自分は死んだのかと思うとどうにも解せない気持ちになる。
自分が生き、ルネが生き、民草が死ぬのではないのかと喉に言葉がつかえたがそこは神のご意思だと言い聞かせる。
人知の及ばぬ考え方や、世界の在り方というものがあるのだろう。神の理に自分が首を突っ込むべきではない。
ではルネは?
彼はどうして死んだのだろう。