聖人女王の転生譚

「ふたつ、新たな人生をまた人として歩む。そしてルネとまた出会う」



「で、出会う?そんなことが、できるのですか」



「できるとも。ただ、そなたはもうあの国の王族には生まれないし彼もまたあの国には生まれない。そなたは記憶を持ったまま生まれることができるがかの騎士はただ転生をするのだ。騎士であったこともそなたのことも覚えていない。ただし、そなたは必ずかの騎士と結ばれる運命を辿るであろう」



 良い出会い方とも限らず、愛されるとも限らない。

 ルネの魂を持ったルネではない人物に必ず出会う人生。

 自分の人生は保証されるようだけど向こうがどういう人生を歩むのかは干渉できず、まったくの賭けになるのだという。

 それでも必ず、必ず出会う。どんな形であれ、どんな思いであれ、必ず形の上では結ばれる。

 そういう人生を送るのだ。ためらうことなどあるだろうか。もう一度だけ、ルネに会えるのであれば。



「結局、もう一度人生をして死んだとしても女王としてのそなたにほころびがなかったのでまたこうして出会うことになる」



「飽きるまで人間をやり直しても、最後にはそなたは神になるだろう」



「だからすぐ神になるか、何度か人として生きてから神になるかというだけの話なのだが……斬首など、痛く辛かったであろう」



 信じる者は、救われるのだ。

 そして自分はいま、救われている。



「神よ、我が神々よ、どうかわたしを、もう一度、私の騎士に巡り合わせてくださいませ」



「そうか。では今度こそ、そなたが幸せになるように我らからの加護を与えよう」



「そなたの世界が豊かであるように」



「そなたの世界が彩られるように」



「そなたの世界が愛であふれているように」



「素晴らしい日々を生きるのだぞ、また会おうアリスタ」



 神よ。今日以上にあなたがたに感謝する日はないでしょう。

 私はきっと、ルネにまた出会い、幸福になってみせるのです。
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