転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
(だって、レヴはリリザのこと多分好きじゃないし……そもそもレヴだって超絶ドジっ子のリリザとくっつけられたら迷惑だろうし……)

言い訳が頭の中を巡るが、どれもフワフワしていてしっくりこない。
紛い物の言い訳がむなしく心から零れ落ち、残ったのは――。
――『どこか、ここじゃない遠くに……お前と行きたいな』
湖のほとりで見た、はるか彼方を見つめるレヴの横顔だ。

勝手にギュッと胸が締めつけられたのを感じて、サマラは頬を熱くしながら観念する。

(ああ、もう! わかってる、気づいてる! 私……レヴが好き! ずっと好きだった! ディーには『友達』って言ったけど、本当はレヴと恋人になりたいって心の底で思ってた!)

いつからか密かに芽生えていた恋心。前世でも恋人がいたことがなかったせいだろうか、サマラはなんだか照れくさくて、ときめく想いに気づかぬふりをしてここまで来た。

けれど他の女の子が彼を狙っているのを目の当たりにしたら、さすがに自覚せずにはいられない。

(リリザにも他の誰にも渡したくない! だって、私もレヴが好きなんだもん!)

もはや抑えようのない情熱が込み上げ、サマラは顔を上げリリザを見据えて言う。

「わ、私――レヴが好きなの。だから、彼がリリザの恋人になることに応援も協力も出来ない。ごめん」

自覚したばかりの恋心を誰かに打ち明けるのは、サマラにとって勇気のいることだった。
それなのにリリザは、サマラの真摯な思いなど知ったこっちゃないとばかりに「あっそ」と白けた声を出す。

「サマラっていつもリリザのお願い聞いてくれないよね、ホント意地悪~」

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