転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
Chapter.4

CHAP4



サマラが王都へ引っ越してきてから七ヶ月が経った。
季節は夏へと移り変わり、サマラもここでの生活にすっかりと慣れた。

午前に屋敷で座学を終えたサマラは、昼からはディーに連れられ魔法研究所へ一緒に行く。そしてディーが仕事をする傍ら、所長室や自然公園で魔法の練習や勉強をするのがルーティンワークだ。

最初は卑しい好奇心の目を向けていた魔法研究所の大人たちも、サマラがお行儀よく挨拶し屈託なく微笑みかけてくるものだから、今ではすっかり悪いレッテルもなくなり純粋に可愛がってくれている。

あどけない五歳児に見えるが、中身はそれなりに酸いも甘いも経験した二十五歳なのだ。幼児がどうしたら大人に可愛がられるかなど、サマラは熟知している。

そんなあざと可愛いサマラは、城の兵士たちにも人気だった。
ディーが忙しいときはカレオがよく遊びに連れ出してくれるのだが、彼はよく兵士の訓練場を見学させてくれたのだ。

兵士たちは皆、弱きを助け強きを挫く精神を持っている。そのせいか小さいサマラはやけに兵士たちに可愛がられた。お菓子を山ほど与えられたり、肩車をしてもらったり、馬に乗せてくれたりと、サマラにとっては皆、いいお兄ちゃんだ。

サマラはすっかり兵士たちの訓練場に遊びに行くことが好きになったが、どうやらディーは娘がいかつい男たちに猫可愛がりされることを快く思っていないようなので、そう頻繁には遊び行けないのが残念だ。

王都は人が多いのでうまくやっていけるか心配だったが、この分ならば問題ないどころか、人間関係はかなり良好と言えよう。
――ただし。王族と一部の貴族以外は。

『魔法の国の恋人ファンブックvol.2』にも書かれていたが、バリアロス王室とアリセルト家は表面上の関係は円滑だが、実は互いに快く思っていない。
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