転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
それもそうだろう、アリセルト家は今や王家に匹敵する地位と名誉と財産を持っている。ましてやディーは大陸一の魔法使いだ。宮廷での彼の発言力は大きく、王家よりアリセルト家に与したいと思っている貴族も少なくなかった。

わずらわしい人間関係が嫌いなディーは宮廷内で派閥を作るようなことはしないが、それでも王家にとってアリセルト家は油断ならない目の上のたんこぶだ。
かといって大陸の英雄を敵視するわけにもいかず、表面上はディーの功績を認め友好を築くしかない。
ディーもそんな王家の腹の内を感じているのだろう。王家に最低限の敬意は払うものの、あまり関わりたくないと思っているようだ。

サマラは王都に来てから身をもってそれを感じていた。
直接いがみ合う言葉を聞いたわけではないが、そばにいれば雰囲気は察するし、噂も耳に入ってくる。。

(そういえば攻略対象のバレアン王太子も、アリセルト家の権威を笠に着るサマラを嫌ってたなあ。単にサマラの性格が悪いから嫌ってただけじゃなく、そういう事情もあったんだろうな)

納得したが、あまりいい傾向ではないなとサマラは少し悩む。
権力だのといった大人の世界のことは大人に任せておきたいが、王家とアリセルト家の不和は、ゲームがスタートしてからの人間関係にも関わってきそうだ。

(まあとにかく、私は悪目立ちしないようしゃしゃり出ないことよね。お行儀よく、性格よく、敵を作らず、生き延びることを第一に)

破滅エンドを迎える十六歳を無事に乗り越えること。初心に立ち返り、サマラは自分の目的を深く胸に刻む。

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