転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
顔が勝手に綻んでしまって、上がりっぱなしの頬が痛い。サマラは頬を両手で押さえて、それでも抑えきれない喜びに「えへへ」と忍び笑いを漏らした。

今日は座学も魔法の練習もお休みだ。魔公爵の娘の誕生日ということで、大勢の人がお祝いに来ると思われる。
サマラは新品の若草色のドレスを着せてもらいビジューのついたリボンのヘッドドレスをつけてもらって、普段よりおめかしをした。

最初にお祝いのプレゼントを贈ってくれたのは、この屋敷の使用人たちだった。
アリアン州の屋敷と違い、この屋敷の使用人は妖精と人間が半々だ。王都ではディーの仕事がらみの客人も多いし、貴族同士のやりとりもあるので、どうしても人間の手が必要になるからだ。
使用人たちからのプレゼントは、人間からはお人形や小物入れや髪飾り、妖精からは珍しい鉱石や魔力の籠もった水や結晶の欠片などをもらった。

午前中には宮廷の貴族らからお祝いが届き、昼には魔法研究所の所員と、カレオと城の兵士たちがお祝いを持ってやって来た。

「お誕生日おめでとうございます、サマラ様。サマラ様が健やかで幸せな一年を過ごせることをお祈りしますよ」

「ありがとうございます、カレオさま!」

カレオはサマラに指輪をくれた。子供の指に合わせて作られたような小さなサイズで、台座には見たことのない白色の石が填まっている。

「これは俺の一族に代々伝わる指輪で、当主から子供へ贈るものです。この白いのは星の欠片っていう今は他に現存しない貴重な石で、身につけた者に満天の星ほどの幸福を約束するっていわれてるんですよ」

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