転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
そういえばディーも水鏡を使って通信のようなことをしていたな、とサマラはふと思い出す。けれどこの人形のような通信方法を使っているのは見たことがない。
まさかこの男の子はディーにも出来ない魔法が使えるということなのだろうか。それとも単に発想の問題で、手段さえわかれば案外簡単なことなのだろうか。

(さすがにディー以上なんてことはあり得ないか。多分後者だな)

きっと彼は発想の天才なのだろうと結論づけて、サマラはひとりで納得する。

「俺の周りってさ、おっさんばっかりで子供がいなくてつまらねーんだよ。だからお前、それで俺の話し相手になれ。時々は遊びに来てもやるから」

窓枠にヒョイと腰掛けながら言った男の子の話に、サマラは不思議そうに小首を傾げた。

「今更だけど、あなたって誰なの? どこに住んでるの? 名前は? 何歳?」

「矢継ぎ早に聞くなよ、せっかちなやつだな。俺はレヴ。五歳。一応王都に住んでるけど、辺境の隅っこに住んでる。たまに王宮に用事があってこっちに来るんだ」

子供なのに王宮に用事があるというのだろうか。それともこの子の親が用事があってついてくるのだろうか。そもそも親だって魔法使いだろうに、魔法研究所には所属していないのだろうか。疑問がさらに湧いてくる。

「お前はサマラっていうんだろ。夕焼け色の髪のサマラって、妖精たちが呼んでた」

「うん。サマラ・ル・シァ・アリセルトよ。今日で六歳になったの。今年の冬からこの屋敷で暮らしてるわ」

「貴族のおじょーさんか。どーりででかい屋敷に住んでると思った」

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