転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
目の前に広がるのは夢のように美しい空。夕方の赤から紫を経て青くなっていく広大なグラデーション。夜の帳が降りた東の空には星々が瞬きはじめ、高度が上がれば上がるほどたくさんの星が見えた。
少しだけ下を向けば、さっき馬車で登ってきた山が小さく見えた。その周りに広がる海が、空のグラデーションをそのまま映してさざめいている。
「上を向いてみろ」
ディーに言われるがままに首を垂直に上向かせれば、驚くほど大きな月が頭上にあった。
「すごーい! 手が届きそう!」
思わず片腕を伸ばすサマラの体を、ディーがしっかりと抱きかかえてくれる。
「こんなに大きなお月さまを見たのは初めて! 綺麗ですね、おとーさま!」
「……ああ、そうだな」
ディーははしゃぐサマラを後ろから抱きしめながら、穏やかな声色で言った。
「六歳の誕生日おめでとう、サマラ」
空を駆ける強風の中でも耳に届いたそれは、温かくて慈しみに溢れていて、かけがえがないほど大切なもののような気がした。
「おとーさま……」
体を支えてくれているディーの腕を、サマラはギュッと抱きしめる。
ディーは片腕だけほどくと、サマラの頭を撫で頬を撫で、それから自分の外套の影から一本の杖を取り出した。
「プレゼントだ。気に入るかわからんが、そこら辺で売っているものよりは遥かにマシなはずだ」
サマラの身長ほどもあるそれはオークで出来ており、先端にブルーベルの花を結晶化させたものが飾られている。
「おとーさま……これ……」
少しだけ下を向けば、さっき馬車で登ってきた山が小さく見えた。その周りに広がる海が、空のグラデーションをそのまま映してさざめいている。
「上を向いてみろ」
ディーに言われるがままに首を垂直に上向かせれば、驚くほど大きな月が頭上にあった。
「すごーい! 手が届きそう!」
思わず片腕を伸ばすサマラの体を、ディーがしっかりと抱きかかえてくれる。
「こんなに大きなお月さまを見たのは初めて! 綺麗ですね、おとーさま!」
「……ああ、そうだな」
ディーははしゃぐサマラを後ろから抱きしめながら、穏やかな声色で言った。
「六歳の誕生日おめでとう、サマラ」
空を駆ける強風の中でも耳に届いたそれは、温かくて慈しみに溢れていて、かけがえがないほど大切なもののような気がした。
「おとーさま……」
体を支えてくれているディーの腕を、サマラはギュッと抱きしめる。
ディーは片腕だけほどくと、サマラの頭を撫で頬を撫で、それから自分の外套の影から一本の杖を取り出した。
「プレゼントだ。気に入るかわからんが、そこら辺で売っているものよりは遥かにマシなはずだ」
サマラの身長ほどもあるそれはオークで出来ており、先端にブルーベルの花を結晶化させたものが飾られている。
「おとーさま……これ……」