喉元の熱~℃~

「5分って…」

飲み会で彼女が潰れる事は一度もなかった。しっかり者の彼女だから、仲間の飲み進め方とかも気にしながら飲んでいたのかもしれない。
眠ってしまった彼女の髪を遠慮がちに撫でてみると、店に入ってから落ち着いていた鼓動がまた早くなっていくのを感じた。
その手を引っ込めて彼女を眺めていると、彼女が消え入りそうな声でいつもの言葉を口にした。

『同じ歳だったら良かった…』

誰とおなじだったら良かったの?
歳が同じじゃなければ何がいけないの?

多分、寝ぼけているだろう彼女にそう問い掛けると、ポツリポツリと答えてくれて。
答えだけじゃない。彼女が僕に対して想っている事をいくつもいくつも話してくれた。
僕は思いがけないその言葉に、酒を飲んだ時とはとは違う顔と喉元の熱さを感じ、

「歳なんて関係ないです!僕は、可愛らしくて素敵な志織さんが好きなんです!」

と告白すると、彼女は目蓋を閉じていながらも微笑んで、そのまま深い眠りに落ちてしまった。

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