新人ちゃんとリーダーさん

 それでも、と思う。
 それでも、「もうしない」と泣き縋られても、素直に頷けねぇことはある。本来なら、「もう」も、クソもねぇ。たったの一回だって、絶対ぇに許させねぇことだから。
 頭では「もう終わりだ」と思っているに、心ではそれ以上に結愛と離れることの方が遥かに「苦痛だ」と思っている自分がいて、落差に悶える。矛盾が苦しい。

「……桜雅くん、」

 とはいえ、己は元々、理性よりも本能が勝つ生き物。潤んだ()で見上げられたら、陥落一歩手前。

「……おう……が、くん、」

 いやもう、手遅れだ。

「もう二度と、すンじゃねぇぞ」
「っ」
「マジで」
「う、うん……ごめんなさい、」

 結局のところ、頭でごちゃごちゃと考えようが何だろうが、俺は結愛を手離せねぇ。
 再び彼女の小さな手を掴み、引き寄せて、普段よりも少しだけ強く抱きしめた。
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