新人ちゃんとリーダーさん
ひく、と僅かに揺れた腕の中の華奢な身体。
胸元に触れている額を、すり、と遠慮がちに擦り付けた結愛はおずおずと顔を持ち上げて、見下ろす俺の視線と自分のものをぶつけてきた。
「……ほ、本当に、ごめんなさい」
何度目かの謝罪。
いやもういい。聞きたくもねぇこの話はもう終わりにしようやと口を開く。
「ヤキモチなんて、妬いて、しまって」
が、残念ながらそこから音が吐き出されることはなかった。
「めっ、面倒、です……よね、こんなの、」
ぐす、ぐすり。
震えはなくなったものの、未だに涙混じりなその声に、開けた口を閉じるのも忘れて「……へ」と間の抜けた息を吐く。
ヤキモチ?
面倒?
いや、何の話だ。
「……でも、不安で……お、桜雅くん、カッコいいし、モテるから、」
「……」
「真鈴ちゃん、すごく美人で、スタイルもすごくいいんです……だから、桜雅くん目当てで入ったって聞いて……でも、そもそもバイトの募集は桜雅くんが辞めたからで、えっと……そ、それで……オーナーが、彼は恋人いるよ、って言ってくれたんですけど、その、そんなの関係ありませんから、って自信満々に言ってて、私、」
「……」
「桜雅くんと真鈴ちゃんを、会わせたくなくて、こんな、こと、」
いやだから、何の話だ。